にや様は、わたくしの都合で、よく引っ越しをしてきました。その度に、外出できたり、室内飼いになったり。本当に申し訳ないことをしたと思っております。
にや様の様子を見ていると、女の子であるせいでしょうか、外に出されてもいつも人の目が届く範囲にいます。実家にいた頃は、猫様用にプレハブ小屋を建ててもらい、暖房設備もばっちり、外出自由の快適生活をおくっていらっしゃいました。しかし、ちょっと油断すると、サッシや網戸を開けて母屋への進入を試みておられました。人がいる部屋の前で、いつも「いれるんだにゃーっ!」と、抗議の声。
ま、そのときの詳しい話は、にや様の肖像で、おいおいお話しすることにして・・・
そんなにや様ですから、こちらに引っ越すことになり、まわりの交通事情から室内飼いになることに、何の問題もなかったはずなのです。
んがっ!猫様と暮らしていて、すんなりうまくいくことなぞないのです。(きっぱり)
第一の事件は、にや様が、新しい同居人である二階の住人、じいや、ばあやに慣れてきたときに起こりました。
二階のベランダは、裏手に立つ3階建てのアパートのベランダとお隣の2階のベランダとくっついています。お互い1メートルないくらい。それで、ばあやも心配してベランダにでるときはきちんと網戸を閉めてでていたらしいのですが、にや様にとって、網戸を開けるなんておちゃのこさいさい!それならと、二枚ガラスのおもたーいサッシを閉めていたらしいのですが、その日はそれさえもこじ開けたらしいのです。
洗濯物を干す手を休めたばあやの目に映ったのは、ベランダのてすりから、裏のアパートへと飛び上がるにや様の後ろ姿!飛び上がる?そうです。飛び移ったんじゃないのです、3階のベランダに飛び上がったんです。
ばあやは、大慌てで召使いを呼びに一階へと駆けつけられました。なんて事でしょう、3階は住人が先週引っ越したばかりで、空き家になっています。にや様が自力で降りていらっしゃらないと大家さんにお願いしに行くことになります。その大家さんとは、土地の境界線のことでちょっともめて、険悪な雰囲気なのです。
ベランダに行くと、にや様は、一通り探検もすんで、こちらへ帰ろうとしてらっしゃいました。でも、こちらに飛び移れなくて
「にゃぁ〜ん。ぅにゃぁ〜ん。
(訳 もう満足してよ。迎えにまいれ。)」と、さけんでおられます。うちのベランダの手すりは丸、着地するには足場が悪すぎます。 どうしようかと心配げに立ちつくす召使い(の心の中・・・・んもう、帰れないんなら、はじめから行くなよなぁ。はあぁぁ絶体絶命だよ、もう、お馬鹿猫!!)
でも、この幅ならはしごを掛けれるんじゃない?
幸い家の裏手で、人目に付かないし2階の住人もどうやら不在でカーテンしまってるし、誰にも見られることもなさそうです。普通のはしごは細くて、にや様が足を踏み外さないともかぎらないし、何かもっと太くて、とっかかりがいいものということで、絨毯を丸めたものを使うことにしました。
それでも怖がるにや様を、煮干しでつりながら何とかこちらに誘導することができました。無事生還されたにや様は、ベランダに着地するやいなや一目散に、家の中に駆け込み消えられました。召使いのお小言を予想してらっしゃったようです。しかたなく、ばあやにお騒がせしたことを謝り、ほっとしながら一階に戻ったのでした。じゅうたんをかかえてね。
しかし、召使いの前に残ったのは、絨毯剥がすために、大急ぎで置いてあるものぜーんぶ動かして、とっちらかって収拾のつかなくなった部屋・・・・・・その部屋の隅にはこんなに散らかして、とばかりに、にや様が静かに座ってこっちを見てらっしゃるのでした。
うぐぐぐぐ、だ・か・ら・あんたのせいなんだってばっ!!!
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