一回目の脱走の後も、相変わらず2階との行き来はしてらっしゃいました。 ま、にや様は柱や畳でつめを研ぐなんてことはないので私は安心して、そのままにしていたのですが、一つ心配なことが。それはじいやが、玄関掃除をするときにドアを開け放 したままにしちゃうことです。
にや様がいつも脱走の機会をねらっていることや、外に出ちゃうと交通事故の危険性が多いことなどを説明しても「大丈夫、大丈夫」といって、取り合ってくれません。仕方がないので、なるべくお掃除する時間帯は1階の部屋からの外出を控えていただいておりました。
そんなある日、うとうとしていた私はじいやが宅配便の人と話しているのをぼんやり聞いていました。で、外の音がガーガーと聞こえたまま、じいやが階段を上っていっているようです。印鑑でもとりにいったのでしょう。あらぁ、にや様はどこにいらっしゃるかしらぁ,などと思いながら私はそのまま一時間ほど寝入ってしまったのでした。
目が覚めてから、なんとなく変だなぁと感じながら一時間もすごしたころ、夕方ご飯の時間になるのににや様が見当たらないのにきずきました。なんとなく不吉な予感をしながら1階をくまなく探しましたが出てきません。2階かもと思って上がってみても呼べど叫べど出てきてくれません。
やっぱり、さっき玄関からでていったんだ!あれほど念を押したのに、とじいやを恨めしく思いながらあわてて外に飛び出したのでした。
それにしても、宅配便の人がきたのは3時ごろですから、もうかれこれ2時間たっています。あまり、長い時間外をうろつかないにや様なら、とっくに探検を終えて、出たところから戻ろうとうろうろしているはずです。でも、にや様のお姿は見えません。玄関の外は夕方で交通量も多く、何かと神経質なにや様がパニックを起こして何処か遠くまで行ってしまったんじゃないかと、心配で心配で、涙ばかりがこぼれます。
何回叫んだでしょうか。小一時間ほど経っていたでしょう。玄関と勝手口を開けて放って、表と裏でにや様の名前を呼んだり、猫缶をがちゃがちゃいわせたり、はたまた座り込んではらはらと涙をこぼしたりを繰り返しておりました。その時・・・
「にゃぁ〜〜ん」
「!」
にや様です!いったいどこから聞こえてくるのかあたりを見回しましたが見当たりません。しばらく探していると再び声が聞こえてきました。右隣の2階建てアパートの庭からのようなので、覗いてみましたが、にや様の黒いお姿は見つかりません。
アパートの人が在宅しているようなので、小さな声でもう一度にや様をお呼びすると、なんと頭の上から聞こえてくるではありませんか。驚いて見上げると、アパートの2階のベランダから、にや様の面目なさそうな顔が覗いています。なじぇそんなとこに??私は急いで、その部屋を訪ねました。出てきた奥さんは、すぐに状況を説明してくれました。何と、にや様は、玄関から脱走したのではなく、2階の窓を開けて、隣の屋根づたいに、ここの部屋のベランダに侵入したらしいのです。奥さんは、隣のねこだとわかっていたらしいのですが、入ってきたんだから、帰って行くだろうとそのままにしていたらしいのです。
ふっ・・・にや様がそんな後先のこと考えて行動するもんですか。前回の脱走をみても、歴然としてるじゃないの。
「たぶん、元きたようには帰れなくて、鳴いているんだと思いますぅ、すいませんでしたぁ」と謝ると、「じゃあ、連れてきますね」、とのこと。とりあえず一件落着と思いきや、奥さんはなかなか帰ってこない。やっと出てきた奥さんは、恐る恐るお聞きになりました。
「あの猫ちゃん抱っこって出来るんですか?私たちがベランダに行くと、うなって歯をむきだすんですけどぉ・・・・」
・・・・・す、すいませーんんん。
人んちに不法侵入しておきながら、家主にきばをむくとは・・・他所様でも女王様気分でいられちゃ困るのよぉぉ。何度も何度も謝りながら、結局部屋に入れてもらい、ベランダのにや様をひっつかまえて、無事連れ帰ったのでした。
ちなみに、日曜日の夕方、お隣は家族団欒中。足の踏み場もないほど生活のにじみ出た部屋を横切るとき、奥さんに申し訳なくて、申し訳なくて。
改めて、にや様の脱走ルートを見てみると、こんなとこから・・・・と、いう感じ。左の写真のように、2階の寝室の窓を開けて、家の壁周りについている出幅7センチほどの飾りぶちをつたって、裏の屋根へと飛び降りているのです。どう考えたって、後戻りできるはずもありません。
私は改めて、猫のもつすばらしい平衡感覚と、すばらしい馬鹿さかげんに感動していたのでした。これなら、これから何度でもおんなじような事件を起こしてくれそうです。召し使いが、HPのねたに困らないようにと、考えてくれてたんでしょう。ありがたいことですねぇ。
で、翌日お騒がせしたお詫びにお隣にお菓子など持っていったのでした。今回の脱走劇には実費がかかってますねぇ(T_T)
あと、じいやを疑ってごめんね。えへへ。
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